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患者としっかり向き合える看護

病院で勤務していた頃はとにかく慌ただしく働いていて、忙しすぎて、時間ばかりに追われて、患者としっかり向き合えない看護に疑問を抱いていました。
その結果、どうしても納得できずに何と8回もの転職を経験してしまいました。
しかし、現在勤務している訪問看護ステーションで働くようになってからは、今まで経験したことのない喜びを実感しています。
今、働き出してようやく10ヶ月が経った頃なのですが、たった数分前のことでも覚えていられない認知症を患っている利用者の方が、私のことは覚えていてくれるのです。
その他のあらゆることを忘れてしまうのに、自分の事だけはしっかり覚えてくれているのはとても嬉しい事ですよね。
これは利用者さんとしっかり向き合う事ができているからだと思うんですよ。

 

病院に勤務することが決まった時から、元々患者さんとは一人ひとり、
きちんと向き合って看護をしたいと考えていたのですが、
いくらやる気があったとしても、あまりにも患者数が多いので、実際に行うことは困難でした。
ナースコールがなればすぐに対応しなくてはならないので、時間をかけて患者さんと向き合うことができていなかったんです。
ですから、病院よりもじっくりと患者さんと向き合うことができるであろう、特別養護老人ホームに移ることを決意しました。
しかし現実は甘くはありませんでした。
患者に対して看護師の数が圧倒的に少なかったため、忙しさは病院とさほど変わらなかったのです。

特別養護老人ホームでは個人として見られる

特別養護老人ホームでの勤務を続けている内にあることに気付きました。
それは、病院で対応していた患者さんとは、期間が定まっている通院や入院という形でしか関わることがありませんでしたが、特別養護老人ホームというのは、老人の方にとって生活する場所であるので、入居者の方と一定期間だけでなく、長きに渡って接する事ができるということです。
患者さんにとって病院というのは、病気の治療を行う場所です。
病気を治すために通院しますし、入院もします。
私も看護師として、血圧を測定したり、処置を行う等の仕事をしっかりこなしていれば文句は言われません。
とにかく看護師免許を持っていて、仕事をこなしてさえいれば誰がやっても同じなのではとさえ思っていたのです。
しかし、特別養護老人ホームでは、人対人として見られるので、入居者の方も私のことを看護師として見ているのではなく、一人の人間として見ているんですよね。
ですから、私がおばあちゃんに何気ない対応をしただけで、笑ってくれたことがあってとても嬉しい気持ちになったのです。
私が発する言葉や表情が周囲に大きな影響を与えていることを知りました。
単に、病気を治すための病院とは違い、生活の場である特別養護老人ホームで、入居者の方々と密に関わって行くことで、看護師としてではなく、人間同士の関わりが大切なのだとようやくわかったんですよね。
それでも色々な事情があり、結局、その後、特別養護老人ホームも退職してしまうのですが、その時のことを考えていたら自分がやりたいことが何となく見えて来た気がするのです。

 

特別養護老人ホームを辞めた頃には私は30歳になる直前になっていました。
私は意を決して年齢的にも最後のチャンスとなるワーキングホリデーの制度を利用して北米へ行ったのです。
そこではやはり老人ホームに入り、ボランティアを体験しました。
北米の老人ホームは、同じ老人ホームであっても、日本の物とは違い、とてものんびりとした雰囲気があり、ダンスパーティーや手芸教室なども開催されていました。
日本の特別養護老人ホームでも、このようなお楽しみプログラムなどは組まれていましたが、ほとんどが全員参加のものです。
しかし、北米の場合はそれらのアクティビティに関しても個人の意思で参加、不参加を決めることができます。
入居者たちが自分たちで考え、主体的に動くことを推奨しているのです。
私はそのスタイルに非常に感銘を受けてしまいました。
北米の老人ホームでは、日本の老人ホームによく見られるようなケアをするのではなく、あくまでも困った時にサポートをしているような感じに思えました。
そして、そんな様子を見ている内に、私もケアをするというよりも、その人自身の人生のサポートをすることができたらと考えるようになりました。
そしてそれこそが私が求めていた仕事なのだと痛感したのです。
私はその後、この北米での体験を通じて、訪問看護を行うことを決意するのです。

病院から離れることで見直せた看護の仕事

訪問看護では、病院で働いている時のように、患者さんと接している最中にナースコールで別の患者さんに呼ばれて駆けつけることも、医師や他の看護師に突然仕事を与えられて患者さんとの時間を邪魔されることもありません。
訪問看護というのは文字通り、利用者の方の家に出向いてケアすることなので、その利用者の方とだけ時間をかけて向き合うことができるのが最大のメリットです。
もちろんあらかじめ、ある程度はどのようなケアをするか決めてから訪問するのですが、
訪問時の利用者の気分や様子によって内容を変えたりすることは頻繁に行っています。
いつも決めた通りにはいきませんからね。
そのためには、訪問した際に、まず相手がどのような状況なのかを初めに聞きます。
利用者さんの中には体調が悪い時にはっきり言ってくれる方もいらっしゃいますが、
なかなか正直に話してくれない利用者さんもいらっしゃいます。
ですから、こちらから働きかけて、何とか気持ちを引き出すようにするのです。

 

訪問看護での仕事というのは、病院での血圧を測ったり、処置をするような仕事とは違い、
利用者さんの生活の一部になるようなものなのです。
特別にケアするというよりは、利用者さんの日常に溶け込んでいって、
その人がその人らしく生きることをサポートするようなイメージです。
あくまでもケアではなく、利用者さんでは困難だと思っていることをサポートするのです。
利用者さんが主体的に生活を送る中で、出来ないことだけを手助けするのは北米の老人ホームと同じような感じですね。
それに、自分自身も利用者さんから元気を分けていただいているんですよ。

 

訪問時にもし、利用者さんが体調不良を訴えてくる場合には、訪問看護を終えて事務所に戻ってからもきちんと電話をかけるようにしています。
あの利用者さんは訪問したときに体調が悪いと言っていたけれど、ご飯はしっかり食べられているだろうか。
今はちゃんと楽になっているだろうか。
そんな風にいつでも利用者さんの顔が頭に浮かんで来ます。
病院では恐らくこんな風には思えなかったと思います。
私はこんな風に人のことを真剣に思って、人として接することができる仕事を求めていたのです。


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